しかし、どのタイミングで「磨き その先へ」が瓶詰めされるかは分からない。「3000本くらいは出荷できそう」と桜井社長は言うが、その確率0.05%と難関だ。

■かつて「シマコー獺祭」も存在 手にしたのは36人のみ

 弘兼氏と旭酒造の交流は2016年秋にさかのぼる。『モーニング』(講談社)で連載中の『会長 島耕作』内で島耕作がミャンマーでの日本酒製造プロジェクトに取り組む場面がある。その際、島は山口県岩国市を訪れて「桜沼酒造」の「喝采」生産を視察。旭酒造の獺祭がモデルになっている。

 実は、獺祭と島耕作がコラボするのは今回が初めてではない。2016年11月には「シマコー獺祭」が登場。しかし、これは36人限定のプレゼント企画で、市場流通しない貴重な一本だと話題を呼んでいた。

 復興支援という形で再びコラボすることになった島耕作と獺祭。島耕作が今回の「獺祭 島耕作」についてどう感じているかを問われると、「郷土の被害に島耕作も全面的に協力しようという気持ち」と弘兼氏。「『磨き その先へ』が当たるかもしれないという気持ちで買っていただければ。お酒を飲んで、チャリティーに参加できれば一石二鳥ではないでしょうか」と続けた。

 旭酒造では7月末から酒の生産を再開。9月中旬の出荷を目指している。義援金の届け先は今後検討するというが、被害の大きかった岡山県、広島県、愛媛県、山口県を予定しているという。(AERA dot. 編集部・福井しほ)

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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