■退職理由の共通点は「職場環境」

 依頼者の職業は様々だが、傾向も見えてきた。

「中小、零細企業が一番多い。業種は介護や建設、飲食が目立ちます。最近ではIT企業などのサラリーマン的な方からの依頼も増えました」(岡崎さん)

 中でもエンジニア職の場合、その人一人に任せる裁量の大きさから退職を渋られることもあるという。しかし、「その人がいなくなって業務が回らなくなるのであれば、それは個人の責任だけではなく会社にも責任がある」と新野さんは指摘する。

 また、ヒアリングする中で退職理由に共通点があることにも気付いた。

「いわゆるブラック企業のような働き方に疲弊する依頼者もいましたが、圧倒的に多いのは職場環境が合わないという理由。コミュニケーションを取りづらかったり、怒鳴られたりすることで人間関係に疲れてしまうケースが目立ちます」(岡崎さん)

■代行依頼が多いのは大阪、兵庫、和歌山など関西圏

 依頼者とのやり取りはメールやLINEがメイン。全国各地から依頼が殺到しているが、中でも大阪、兵庫、和歌山、三重の関西圏からの依頼が多くきている。意外にも地方からの依頼が目立つが、「地元の先輩の会社で働いていたり、家族ぐるみの付き合いがあったりと辞めづらいのでは」と新野さんは分析する。

 EXITにはネクストサポート制度もあり、2回目以降の依頼は割引価格で代行する。実際に2回以上利用するケースもあり、ある男性(35歳)から就業1日目で退職代行の依頼があり、無事成立。その後、2カ月ほどして今度は就業4日目で依頼があった。

 就業期間が短ければ短いほどバックレる人も多そうな気もするが、そこに依頼者の真面目な性格が表れているという。

「辞められない理由の一つに退職者が感じている”申し訳ない気持ち”があります。入社したばかりなのに、あるいは、育ててもらったのに、などという思いから言い出せないケースです」(新野さん)

 短期間での2回の利用についても「いつでも辞められるという安心感が後ろ盾になっているのではないか」と分析している。

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