●これから長く効果を出していくために
最後に鈴木さんに、これからのSEO対策の方針について聞いてみた。
「いまはWebサイトのコンテンツ強化や新たな立ち上げのチャンスだと思います。Googleが公表している〈ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)〉の4つの基本方針の中で、〈検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する〉ことをいの一番に掲げています。要は、真っ当にWebサイトを作成して、そのうえで正しいSEO対策をすれば、より長く上位に表示され続けるということ。それが検索技術の進歩にともなってどんどん明確になっているわけです」
Googleは、2017年2月にも「日本語検索で表示される低品質なサイトへの対策」を発表している。その中身は「ユーザーに有用で信頼できる情報を提供することよりも、検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイト」の順位が下がり、「オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示される」ように、Webサイトの品質の評価方法に「改善」を加えたというもの。
「Googleが公表しているガイドラインのルールに違反したWebサイトは、ペナルティを科されます。違反サイトは、検索順位が下げられたりインデックス(検索エンジンのデータベースに格納された各サイトのデータ)が削除されたりする。そうなれば検索結果にまったく表示されなくなって、集客ができなくなり、Webサイト自体の存続も難しくなる。もちろん、罰を受けてもルールに従って対応すれば解消できますが、大きなコストがかかるし、違反を繰り返した場合には、何をしても復活できなくなるのです」
裏返して言えば、技術の進歩に伴い、検索エンジンのガイドラインに則してユーザー第一で良質なWebサイトを作成して正しいSEO対策を行うと、より早くより正確に検索エンジンにインデックス化されて、スムーズに検索結果の上位に表示されるようになってきているということ。その意味では、企業のWeb担当者は、適切なWeb・SEO業者を選定できる「目利き」でなければならないだろう。
「私の新著『Webプロジェクトを成功に導く 戦略的SEO思考』では、現在のSEO業界に横たわる問題の背景にある文化から解説するとともに、事例を挙げながら「当たり前」とされていることに疑問を投げかけ、本当に成果をあげられるサービスや業者を選定するための方法論を提供しているので、ぜひ参考にしていただければ幸いです」
Googleは2018年3月27日、「モバイルファーストインデックス(MFI)」への移行を開始した。MFIとは、パソコンではなくスマートフォンで表示されるWebページの評価を優先し、それを元にパソコンでの評価を決めるというもの。検索結果の表示順に少なからず影響するはずで、これからのSEO対策はスマートフォンが中心になっていくと予想される。「ただ、ユーザーのために良質なWebサイトを作成して正しいSEO対策を行うことが最重要であることは、今後も一切変わりません」と話す鈴木さんに不安や焦りはないようだ。鈴木さんが提唱する「戦略的SEO思考」は変化に惑わされない、いわば本質重視の思考法なのだろう。