両親、舅、姑とあや子さんの肩には4人の介護がのしかかっているように見えるが……。
「義理の父母の家の近くには、彼のお姉さんが住んでいて、お姉さんが『あや子さんは仕事があるから、こっちは大丈夫』と言ってくれて、正直、気持ちが少し軽くなりました。もちろん、彼の両親だから、介護しない! なんてことはありませんが、きれいごとではすまされない現実がやってくるかもしれません。そう言ってくれる義姉がいることが本当に心強いです」
一人っ子のあや子さんは、結婚と同時に、夫だけでなく、子どもたち、義理の両親、姉一家の10人の家族を得た。結婚は本人同士だけじゃなく、家と家、と言うが、それをまさに実感している。そして、そのことが心強く、心地いい。人生を長く経験してきたからこそ、人の温かさが身に染みて、しみじみありがたいと感じられるのかもしれない。
■同じ趣味を持つ者同士ずっと楽しんでいきたい!
“自然のなりゆき”とずっと思ってきたけれど、一念発起して、彼と知り合い、結婚。あや子さんは今、どういう気持ちで日々、過ごしているのだろうか。
「ひとりでも生活はできないわけじゃないけれど、両親以外の家族が増えたことは、精神的な安心感につながっています。ここまでひとりでしたから、結婚してもしなくても、自分が大きく変わるってことはないと思っていましたが、サーフィンやスノーボードは彼がいなければやらなかっただろうし。共通の趣味も多いので、喜びや楽しみを分かち合えるのがうれしいです。共感できるのが本当にうれしい」
若いときに結婚をすれば、それぞれに趣味ができて、別々に楽しむということもあるだろう。しかし、年を経て、同じ趣味を持った者同士が結婚し、一緒に楽しめるというのが、50歳婚の醍醐味かもしれない。
「ふたりとも食べ歩きが大好き。少し長めの休みには海外に出かけて、あちこち歩きまわってその国の食文化を満喫します。これから残りの人生、ふたりで何カ国行けるか、楽しみです(笑)」
(取材・文/時政美由紀)
時政美由紀(ときまさみゆき)
(株)マッチボックス代表。出版社勤務後、フリー編集者に。暮らし、食、健康などの実用書の企画、編集を多数手がけている