だが一方で、ネットが一般社会にも浸透し、その情報拡散力が発揮されるようになると、芸能界の中でも公式ホームページを作製したり、所属タレントにブログをやらせたり、人気ブロガーをプロモーションに利用する動きも出はじめる。
さらに、大手ポータルサイトがニュースの取り扱いに力を入れて一般社会においてもネットを通じてニュースや情報を目にする機会が増え、その影響力が新聞や雑誌といった既存の紙媒体を上回るようになり、スマートフォン普及やSNSの流行といった追い打ちをかけられると、もはや「情報統制」に固執していた芸能界の“アンチネット”の守旧派も、ネットの存在を無視できないようになり、協調路線や融合路線にシフトチェンジせざるを得なくなったというのが実情だろう。
そういう意味でも、先に挙げた「ジャニーズ事務所」による“ネット解禁”は、芸能界全体においても一つの大きな節目、象徴的な事象と言えるだろう。
「情報統制」という観点におけるアレルギー反応もあり、ネットとの付き合い方に関しては他業界に比べると総じて出足が鈍い印象もあった日本の芸能界だが、そのぶん伸びしろもあるだけに、今後の動向に注目したい。(芸能評論家・三杉武)