私は現在、MXテレビの「5時に夢中!」という番組に毎週木曜日にレギュラー出演させていただいている。一緒にコメンテーターとして席を並べているのが、同じ年の盟友、作家の岩井志麻子さんだ。「文壇のいくよくるよ」「ハメドリ姉妹」などの異名をとる下品コンビ。相方とはいえ作家に対して失礼なのは承知で、普段通りに「志麻子」と呼ばせてもらう。
「日本一のエロババア」を自他ともに認める志麻子は私生活でもテレビでもとにかく毎日ヒョウ柄の服を着、バッグや靴、小物もすべてヒョウ。出演する「有吉反省会」や「5時に夢中!」ではヒョウ着ぐるみまで来て、顔もヒョウメイクなので、いまや「ヒョウのおばさん」としての知名度が「エロババア」の称号(?)を凌ぐほど有名になっている。その素顔を知らない人もいるくらいおなじみになったヒョウメイクだが、岩井志麻子は、そのぶっ飛んだ言動からは想像もつかないくらい、とても繊細な魂を持つ孤高のひとだ。
まず、志麻子はひどい人見知りである。それはなかなか懐かない動物のようでもあり、初対面の人とはけして目をあわせようとせず、うつむいたまま挨拶もなく唐突に持ちネタ(9割が下ネタ)をノンストップで話し始める。彼女は沈黙が怖いので、お経を読むようにそれは続き、ようやく途切れて相手が話し始めると、おもむろにスマホを取り出してポケモンGOや、ラインをしはじめる。「他人の話を聞けないコンテスト」というのがあればかなり上位に入賞することは間違いないだろう。ただし、相手から極上の下半身エピソードや事件ネタが発された時だけは、聖徳太子もびっくりの「聞く力」を発揮し、目を輝かせる。そして政治や時事の話になったとたん、その目は鹿のはく製のように光を失くすのだ。
巷間よく言われる、「女性の友情の長続きの秘訣は、男の趣味がかぶらないこと」というのは私たちの場合、まさにビンゴで、志麻子は若いツルンとした肌とを持つ可愛いタイプの絶倫の年下が好きで、いまのダンナは18歳年下の韓国人男性。19歳年上のコワモテのオッサンと絶賛同棲中だった私とは、パートナー同士の年齢差が実に37歳、見た目もほぼ真逆。肉体的にもセックス至上主義を標ぼうする志麻子に対し、21世紀処女を自虐ネタにする私は精神・対話重視型恋愛。あるとき、毎回言葉がきちんと通じ合っていない相手を選ぶ志麻子の恋愛に対し、「深い話し合いとか論争とかできなくていいの?」と問うた私に、志麻子は、「面白い話は、西原理恵子ちゃんやゆかりちゃんのような女友達と一杯してるからもう十分。男はかわゆうて毎日機嫌が良くて、ち●ぽがようけ勃てば、それでええんじゃ」とケロリ。返す刀で「ゆかりちゃんこそ、トウチャンがち●ぽタタなくてええんかい?わしゃ絶対無理じゃ。そもそもわしはカラダ目当てであいつと一緒になっとるし、あいつは金目当てでわしにくっついとる。タタンくなったら即お払い箱じゃ」と冗談とも本気ともつかぬ熱弁をふるって笑わせてくれた。