それに、よく言われることだけど、人が相談するときって答えは決まっているんですよね。僕もそうだけど、相談は同意を求める作業。僕は「それは違うぞ」って真逆のことを言うこともありますけど、「竹山さんに言われたから改めました」って人はあまりいないんですよ。人がこうしたほうが良いってアドバイスしたときに、その人の言うことを聞くかどうかは、答えた人の“ブランド力”によるんです。言った通りにするのは相手のブランド力に本人が負けているだけで、納得していなかったら結局また動かなくなっちゃうんですよね。
僕も悩むことはいっぱいありますけど、最終的には1人で決めるしか無い。しかも、大人になると相談する人がいなくなっちゃうから、なかなか辛いですよね。僕もそう。以前は相方という存在がいたから、仕事で「こうやりたい」って悩んでいても、「どうする?」ってしゃべる相手がいたんです。相方がいなくなって、付き人兼運転手の中田という男に不満とかグチを話していたんだけど、大人になるとだんだんそういう人もいなくなる。僕は木梨憲武さんとか鈴木おさむさんとか、一緒にYoutubeを作っているチームとか、話を聞いてくれる人がいる方だし、もちろん本当に困ったときはマネージャーとかに話すんだけど、もっと些細な話ね。だから僕のところに相談に来てくれる人には、気持ちよくなって帰ってほしいと思う。
人の話を聞くのが好きになったのは20代後半に配達のバイトしていたときですね。お客さんのおばちゃんたちが「バイトがいい加減な対応した」とか「予定の時間に来なかった」とか苦情が入ると、店長が僕よりずいぶん若かったのもあって、「俺行きますわ」ってクレーム対応を全部引き受けていました。
おばちゃんは最初怒りで興奮しているんですけど、「すいませーん、いま店長が出払っているので一旦お話を聞かせてください。僕バイトリーダーなので」って嘘ついて、全部聞いてあげるんです。そしたら昨日電話したって言っていたけど実際はしてなかったとか、ボロが出てくるので、その矛盾を見つけてグサッとナイフで刺すんです。「電話してなかったわけじゃないですかー」とか。