さらにベスト8進出後には、ギャレス・サウスゲート監督と登録選手のタトゥーを入れたサポーターが登場。この男性はW杯開幕前に「8強に進出したら、選手の名を体に入れる」と宣言しており、「約束通りやった。スゲェ気に入っている」と証拠写真と共にツイッターで報告した。男性はアマチュアリーグでサッカー監督を務めており、タトゥー最上部にサウスゲート監督の名を記したという。「今の活躍は監督のおかげ」と、得意げに説明した。

 そのサウスゲート監督には、思わぬオファーも舞い込んだ。「紺のベスト+ブルーのYシャツ+ストライプ柄のネクタイ」の姿でテクニカルエリアに立つ指揮官には、「ベスト姿がさまになっている」「シュッとしていてカッコいい」と、女性ファンから歓声が飛んでいる。とくに、注目されているのが、公式スーツを提供している『マークス&スペンサー』の「紺のベスト」。英紙『サン』が、「準決勝は、サウスゲート監督のトレードマークである紺のベストを着て応援しよう」と自国のサポーターに呼びかけているほどだ。

 そんな指揮官に目をつけたのが英国のファッションブランド『サー・プラス』で、「サウスゲート監督に生涯無償でベストを提供する」と約束。同ブランドの創業者は「監督の手腕に加え、服のチョイスにも感銘を受けている」とうれしそうに話していた。

 イングランドの準決勝進出は、今回で3度目。過去を振り返っても、66年のイングランド大会と90年のイタリア大会の2回しかない。10年の南アフリカ大会は決勝トーナメント1回戦で敗退、4年前のブラジル大会もグループステージ敗退と、近年は上位進出すら叶わなかっただけに、喜びもひとしおのようだ。

 そして、国民が夢見るのは、やはり66年大会以来となる「世界王者」である。まだまだ夢は続いて欲しい──。ベスト4進出に酔いしれるイングランドの人々は、そう願ってやまないのだ。(文・田嶋コウスケ・英国ロンドン在住ライター)