アメリカンフットボールの悪質な反則問題。関西学院大学のクォーターバック(QB)を負傷させた日大の宮川泰介選手(20)が会見を開いて内田正人監督、井上奨コーチからの指示だったと説明したが、23日午後8時からもう一方の当時者らが都内で緊急会見を開いた。
報道陣のカメラの放列が敷かれるなか、日本大学アメリカンフットボール部の内田前監督と井上コーチの2人が直立。内田前監督は19日の会見でみせた鮮やかなピンク色のネクタイではなく、灰色っぽいネクタイをしめていた。
会見冒頭、被害者の関学の選手と家族に対して謝罪した内田前監督。その後の井上コーチの謝罪と合わせて計5回、頭を下げたが、宮川選手への明確な「指示」は最後まで否定した。
内田前監督は「宮川君をあのような気持ちにさせてしまった、私といたしましても申し訳なく、反省している次第です」と述べた一方で、質疑応答で「言われている『タックルをしろ』というようなことを、信じてもらえないと思いますが、私からの指示ではございません」と何度も否定した。
井上コーチは「QBを潰してこいと言った」と指示したことは認めたが、それは「最初からおもいっきりタックルしてこい」という意味で怪我をさせる意図はなかったと繰り返した。
くだんの試合当日の反則タックルについて、内田前監督は「言い訳になってしまうのですが、そのとき僕はボールをみていまして、(反則タックル)プレーを見ていなかったのが正直なところです」と、プレーそのものを「見ていなかった」とも打ち明けた。
質疑応答ではしどろもどろになることも多かったが、終始、「怪我をさせてこい」という趣旨の発言はしていないと否定した。
だが、こうした内田前監督らの弁明に対し、同じ連盟の大学アメフト部の元監督は「ラフプレーの容認は日大アメフト部の指導者の伝統。過去にはリーグ脱退騒動も起こしている」と話す。
1970年代に成城大学と和光大学でアメフト部の監督を務めた吉田愛一郎氏(71)によると、日大アメフト部のラフプレーは名将といわれた篠竹幹夫前監督時代から関係者の間では有名だった。