■英語を話す環境をつくれるかがカギ 

 山下さんが頼りにしたのは、日本に住むネイティブスピーカーの友人たちだった。彼らとの会話やメールは、全部英語にすると決めた。

「テキストでの勉強も必要なんですが、出てくるシチュエーションが自分と無関係だと、実感がわかなくて覚えられないんです。でも友だちとの会話だと『これが食べたい』とか、『今日はこんなおもしろいことがあった』とか、切実に伝えたいことがありますよね。それをどう表現するかを自分でも考えて、友だちに教わって、フレーズで言えるようになったら、それは自分のものになります。本当に伝えたい言葉だからです」 

 職場や学校にネイティブスピーカーがいたら、積極的に親しくなることを山下さんはすすめる。「話さなくちゃいけない環境をつくるのが一番です。ネイティブの友人がいなくても、英会話教室で先生と話したり、英語を習っている友だちとのメールは全部英語にしたりすることも効果的だと思います」 

 もちろんテキストでも学習した。山下さんの勉強の仕方は独特だ。テキストは同じものを2 冊買い、一冊は持ち歩いて移動時間などに必ず開く。そしてもう一冊は、家のテーブルの上に開きっぱなしで置いておく。

「疲れて帰ってくると、テキストを開くだけでもけっこうエネルギーを使うんです。だから、その日やろうと思っているページを開けておく。それだけで勉強のハードルが少しだけ下がります」 

 苦労したのは、単語と単語をなめらかにつなげる英語特有の発音だった。それには歌が役に立った。

「たとえばラップは、何を言っているのかわかりにくい。だからネットで歌詞を検索して『この単語とこの単語がつながっているから、この発音になるのか!』っていちいち確認しました。これは英語を話すうえで、ものすごくいいトレーニングになると思います。おすすめです」

■英語が楽しい! と思うまで続けよう 

 本気で英語を話したい、理解したいと思い続けてきたからこそ、独自の勉強法を生み出せたのだろう。だが、本人はいたって謙虚だ。

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