佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などのほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などのほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
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自称「浮き草稼業」の佐藤二朗さんのポリシーとは… (※写真はイメージ)
自称「浮き草稼業」の佐藤二朗さんのポリシーとは… (※写真はイメージ)

 個性派俳優、佐藤二朗さんによる「AERA dot.」の新連載「こんな大人でも大丈夫?」。日々の仕事や生活の中で感じているジローイズムをお届けします。

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 人生、初コラム。のっけから言い訳がましいというか、無責任なことを言うが、「コラムって要するに何なのか」もよく分からないままの初コラム。

 敬愛する先輩演劇人の言葉。「40歳になるまではどんな仕事も断るな」。理由は「40以上になると、どんな仕事でもある程度立場が確立して、"この人はコレはやる、この人はアレはやらない"と周囲が決めていってしまうから」とのこと。

 なるへそと思ったが、この「40歳になるまではどんな仕事も断るな」という言葉は、49歳になった俺には既に当てはまらない。が、精神年齢の低さには定評のある俺だ。「いつまでも少年の心を忘れない」というポジティブな意味ではない。それはもう、抜群に、圧倒的に、世界の真ん中で精神年齢が低いのだ。6才の息子と壮絶なデッドヒートを演じるほど、精神年齢が低いのだ。テンパリ沸点はどんな大人よりも低く、かなり些細なことにもすぐさま、浮き足立つ。なんなら常時、浮き足立っている。NGとか出すと「ふにゃら!」とか「あげぴー!」とか全く意味の分からない奇声を発してしまう。たまに「それ、狙ってるんですか?」と聞かれる。馬鹿を言っちゃいけない。「ふにゃら!」とか「あげぴー!」は狙って発する言葉ではない。言葉なのかも疑わしい。無意識に、いつの間にか発してしまうのだ。気付いたら、発してしまっているのだ。自分ではどうにも食い止められないのだ。

 なんか書いてるうちに、だんだん自分が不憫な大人に思えてきたが、恐らく、俺は死ぬまで地に足がつくことはないであろう。ないであろう、ではない。ホント自分でも何とかしたいと思ってるのよ。だって、普通に恥ずかしいもの。大人として、かなり恥ずかしいもの。「お茶目な大人」の範囲をとっくに越えちゃってるんだもの。

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準備万端じゃなくてもゴー!