13年には、日本テレビの報道番組「NEWS ZERO」のプロデューサーが、当時キャスターを務めていた山岸舞彩や女性スタッフへのセクハラで更迭されるという騒動もあったが、5年前と比べてもセクハラ、パワハラに対する世間の目はより厳しいものになっている印象だ。
もちろん、セクハラ、パワハラを肯定する気は毛頭ないが、その一方でテレビ業界、とくに番組の収録現場などでは仕事にまだ慣れていないADなどの若手スタッフが、ベテランの先輩スタッフから怒鳴られたり、殴られたり、男女を問わずその身体的特徴をイジられたりするのは当たり前の世界だった。
実際、部外者の当方もそうした光景をよく目にしたが、懇意にしている30代半ばの民放テレビ局の番組スタッフはこう明かす。
「確かに僕らが若い頃はまだ殴ったり、蹴ったりする先輩はいましたけど、今そんなことをやったらすぐに問題になりますからね。昔に比べてテレビ業界に憧れを抱いて入って来る若いコは減っているし、とくに局員に比べて薄給の制作会社は常に人手不足。教育とはいえ、昔みたいに若いコに厳しく当たって辞められたら仕事が回らない。テレビ局の方もピリピリしているし、『あそこの制作会社はブラック企業だ』なんて噂が業界内で流れようものなら、切られちゃいますからね」
ある民放テレビ局では、最近になって局内でセクハラやパワハラの噂がある局員を水面下で調査し、個別に面談したり、セクハラやパワハラに関する研修を行っているという。
報道番組や情報番組などでセクハラやパワハラ問題を報じているテレビ局の方もまた、自分たちの襟を正すことに必死のようである。(芸能評論家・三杉武)