今季もメジャーリーグ、日本のプロ野球を問わず新監督たちが何人も誕生した。あらためて各球団の指揮官たちの顔触れを見ていくと、あることに気付く。それは日本プロ野球の監督たちはほぼ全員が現役時代に活躍したスター選手であるのに対し、メジャーリーグはそうではない監督の割合が高いということだ。
例えば、かつて巨人にも在籍していたフィリーズ新監督のゲーブ・キャプラーは、一応メジャーで12シーズンプレーした実績があるが、100試合以上に出場したのは半分の6シーズン。その大半がプラトーン起用(対左投手専用)だったこともあって、500打席以上たったシーズンは1回しかなく、タイトルなどにも無縁だった。
ヤクルトでプレーし、現在はダイヤモンドバックスを率いているトーリ・ロブロもメジャー8年間で303試合しか出場していない。またレイズで監督として頭角を現し、2016年にはカブスを108年ぶりのワールドシリーズ制覇に導いた現役屈指の名将として知られるジョー・マドンはメジャーに昇格できないマイナーの控え捕手だった。
特にマドン監督のような選手としての実績がほぼ皆無な経歴では、日本では絶対に監督になることはないだろう。それどころか、マイナーのコーチや球団職員として球界に残ることすら困難だ。
一方で、メジャーリーグでは日本ほど名選手たちが引退後に監督になるケースは多くない。もちろん皆無というわけではなく、ツインズを率いるポール・モリター監督は殿堂入りも果たしている巧打者だったし、マーリンズのドン・マッティングリー監督も現役時代はヤンキースの主砲としてリーグMVPなど数々のタイトルを取って永久欠番にもなっている。
だが、彼らのような例はどちらかといえば少数派で、スター選手の多くは引退後に悠々自適な生活に入るか、テレビなどのアナリストになるかだ。また、ヤンキースの看板選手だったデレク・ジーターはマーリンズの買収グループに参画してCEOに収まるなど、やはりユニホームを再び着ることのない道を選んでいる。