その際、同じ商品に投資する場合でも、税制面で優遇のある制度を「運用の器」として使うほうが有利だ。近年、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)や「NISA」(少額投資非課税制度)、「つみたてNISA」などの、税制面でお金の運用を後押しする制度が相次いで導入された。図に示しているように、「リスク資産」の運用は、まずiDeCoに割り当てて、余裕があれば一般NISA、またはつみたてNISAを利用するという順番がいい。
(4)残りは「無リスク資産」として、普通預金または「個人向け国債」で持つ。「無リスク資産」は、元本割れ(運用商品の価格が、投資した金額を下回ること)を心配しなくてもよい置き場所だ。銀行の普通預金も選択肢になるが、お勧めは「個人向け国債」の「変動金利型10年満期(通称:変動10)」だ。元本割れせず、半年単位で利息が見直されるため、金利上昇に強いという長所を持つ。
以上だ。この方法は、一般向けに簡略化されているものの、たとえプロのファンド・マネージャーでも、これを確実に上回るのは容易ではない。間違いなく実行できて、大きな失敗をしない、誰にとってもおおむね最適な運用法と言える。
この図をひと目見れば、自分の持っているお金を、どこに、どれくらい置いておくべきかがだいたいイメージできるのではないだろうか。
一度全体像が把握できれば、自分でさらに勉強して調整や応用していくことも可能だろう。投資や運用のことは「よく分からない」「なんとなく怖い」という状態から、まずは一歩踏み出してみてはいかがだろうか。