「世界で唯一」といううわさのちくわの自動販売機(兵庫県淡路市の東浦バスターミナルで)
「世界で唯一」といううわさのちくわの自動販売機(兵庫県淡路市の東浦バスターミナルで)
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自販機では、淡路島名産の竹ちくわ「たけやん」が1本200円で販売されている
自販機では、淡路島名産の竹ちくわ「たけやん」が1本200円で販売されている
ガス火でじっくりと焼き上げたしっかりとした食感が魅力(ユーアールエー提供)
ガス火でじっくりと焼き上げたしっかりとした食感が魅力(ユーアールエー提供)
かつて竹ちくわの自動販売機が設置されていた淡路フェリーボート(ユーアールエー提供)
かつて竹ちくわの自動販売機が設置されていた淡路フェリーボート(ユーアールエー提供)
ビールのおつまみにぴったりな竹ちくわは、船内の人気商品だった(ユーアールエー提供)
ビールのおつまみにぴったりな竹ちくわは、船内の人気商品だった(ユーアールエー提供)

 兵庫県と四国とを結ぶ淡路島に、「世界で唯一」といわれているちくわの自動販売機があるという。なぜ自販機でちくわを販売しているのか。理由を探るべく、現地に向かった。

 ちくわの自販機があるのは、島の北部、神戸行きの高速バスなどが発着する東浦バスターミナル(兵庫県淡路市)だ。自販機は、バスターミナルの入り口付近に、ひっそりと置かれていた。

 見た目は古めかしく、売られているのは1本200円の竹ちくわ「たけやん」のみ。お金を入れると、「ガチャン」と鈍い音がして商品が出てきた。箱の中には、こんがりと焼けたちくわが、青竹に巻かれた状態で入っている。賞味期限を確かめると、20日間ほどもつようだ。

 食べてみると、肉厚で歯ごたえがあり、おいしい。さわやかな青竹の香りもよい。製造元でフードサービス事業を手掛けるユーアールエー(兵庫県淡路市)の担当者によると、「しっかりとした食感」と「しょうゆをベースに、隠し味にワインを入れた口当たりの良さ」がポイントだという。

 なぜ竹ちくわを自販機で売ることになったのか。その誕生は、1990年までさかのぼる。明石海峡大橋がなかった当時、人々は、淡路島・大磯港と神戸・須磨港などを運航する「淡路フェリーボート」で本州と島とを行き来していた。

 大磯港から神戸港までは45~50分かかる。ユーアールエーは、フェリー船内の売店を運営しており、自社製の弁当やおにぎりなどを販売していた。そこの人気商品が、ビールやお酒のおつまみにぴったりなちくわだったのだ。

 当初は他社から仕入れた製品を売っていたが、安定供給を目指して自社でちくわを生産することに。完成した竹ちくわをフェリー船内や港のドライブインなどで販売したところ、予想以上に売れた。担当者によると、1990年代は1日1万本を売り上げたという。

 フェリーは24時間運航だが、売店は午後9時ごろになると閉まってしまう。乗客などから閉店後も竹ちくわを求める声が高まり、自販機の開発に乗り出した。1996年に完成し、8つの船に1台ずつと大磯港、須磨港のドライブインに、計10台を設置したという。

 やがて、98年4月の明石海峡大橋の開通により、淡路フェリーボートは廃止。竹ちくわの自販機は、ユーアールエーが運営する神戸淡路鳴門自動車道の淡路ハイウェイオアシスや東浦バスターミナルなどに移された。しかし、高速道路のサービスエリアではビールを販売しておらず、竹ちくわ単体だとそんなに売れない。自販機自体も老朽化し、だんだんと別の自販機に置き換えられ、結果的に車に乗らなくても利用できる東浦バスターミナルの自販機だけが残ったという。

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担当者が明かしたちくわの売り上げは?