名司会者として定評のある徳光和夫さん。週刊朝日増刊「朝日脳活マガジン ハレやか 4月号」では、心筋梗塞という大病をする前と後での、心と体の変化と、健康の秘訣について語ってもらった。
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「路線バスで寄り道の旅」で居眠りばかりしている徳光でございます。
バスを乗り継いで目的地にたどりつくのが目標ですが、そうは問屋が卸さない。夕日を見に行ったのに沈んだ後。停留所に行ったら最終のバスが出た後。そんなことばかりです。
僕の座右の銘は「いきあたりばったり」。バスの中で初対面の人が手を出してきたら優しく握ります。これも何かの縁。「幸せになりそう」なんてうれしがってくれる人がいるのですが、幸せは僕のほうが欲しいくらい。競馬に競艇にオートレース。いまだに当たりませんしね。
でもね、ギャンブルで脳は活性化しています。「直感力」と「決断力」を養う……っていうと、格好が良すぎるか(笑い)。
でもね、馬と騎手の相性や自分で作ったレコードタイム一覧を比較して予想はしますが、現場で「違う、この馬がくる!」という直感が働いたときに買った馬券は、確率が高い。僕の場合は、そう。
■深い森にかかった濃い霧が治療をすると晴れてきた
今から17年前のことでございました。翌日、茨城県でのゴルフに参加するために、夫婦で東京のホテルに泊まっていたとき。夕方、胃袋のあたりをぎゅっとつかまれる感覚を受けました。「あれ? 貝にでもあたったかな?」と思いましたが、痛みは強くなる一方。アメリカにフリッツ・フォン・エリックというプロレスラーがおりまして、彼の得意技は「胃袋の鷲掴み」。ジャイアント馬場の胃袋をつかんで、そのまま体を引き上げちゃう。そのときは、エリックに胃袋を取り出してもらいたいなと思うほどの痛みでございました。
かみさんに言うと「水を飲みなさい」と。かみさんは祖母から「おなかをこわしたら水を飲ませなさい」と言われて育ったんだそうです。