ハートを形づくった盆栽を手にする「Bonsai☆Girls Project」のリーダー、首藤さん(左)とメンバーの十亀さん
ハートを形づくった盆栽を手にする「Bonsai☆Girls Project」のリーダー、首藤さん(左)とメンバーの十亀さん
それぞれの「マイ盆栽」で盆栽の魅力をPRする「Bonsai☆Girls Project」のメンバー(同プロジェクトのフェイスブックより)
それぞれの「マイ盆栽」で盆栽の魅力をPRする「Bonsai☆Girls Project」のメンバー(同プロジェクトのフェイスブックより)
高松市内の盆栽職人のもとへ定期的に通い、盆栽の知識や技術を学ぶ(「Bonsai☆Girls Project」のフェイスブックより)
高松市内の盆栽職人のもとへ定期的に通い、盆栽の知識や技術を学ぶ(「Bonsai☆Girls Project」のフェイスブックより)
メンバーが丹精した盆栽の数々(「Bonsai☆Girls Project」提供)
メンバーが丹精した盆栽の数々(「Bonsai☆Girls Project」提供)
インテリアにもなるこけ玉。女子大生ならではのカワイイ飾り方だ(「Bonsai☆Girls Project」のフェイスブックより)
インテリアにもなるこけ玉。女子大生ならではのカワイイ飾り方だ(「Bonsai☆Girls Project」のフェイスブックより)

 女子大生が紙袋から取り出したのはハート型のクロマツの盆栽だった。手のひらサイズの鉢から漂う可愛さに少し戸惑う。

【盆栽ガールズのメンバーと「マイ盆栽」はこちら】

「オーソドックスにキュートなものを作ろうと思いました」と笑顔で話すのは、香川大学(香川県高松市)の女子学生たちでつくる「Bonsai☆Girls Project(盆栽ガールズプロジェクト)」のリーダー、経済学部2年の首藤(しゅとう)沙希さん(20)だ。ハート型の盆栽は、木の枝や幹に針金を巻きつけて形をつくる「針金かけ」で仕上げたという。

 松盆栽では、全国約8割のシェアを占めるといわれる香川県。そのほとんどが、県都・高松市の鬼無町と国分寺町で生産されている。ひと昔前は「お年寄りの趣味」「とっつきにくい」といったイメージを抱かれがちだったが、同プロジェクトでは、「カワイイ」一面の発信に力を入れる。

 盆栽ガールズは2012年、香川大学経済学部の古川尚幸教授(49)のゼミ生を中心に結成された。きっかけは、前年に高松市で開かれた盆栽のアジア大会。盆栽と、香川漆器や庵治石などの特産品を絡めた商品開発に取り組んでいた時に、学生たちからAKB48ならぬ「(Bonsai☆Girls Projectの頭文字を取って)BGPやります!」という声が上がったのだ。

 当時のアンケートで出てきた盆栽の三大イメージは「高齢者」「お金持ち」「男性の趣味」。古川教授は「これらのイメージと裏側のコンセプト、『若い』『女子大生』でいけばおもしろい情報発信ができるかもしれない」と考えたという。

 盆栽ガールズは当初、4人で結成したが、活動を続けるうちに学内でも認知度が上がり、2018年2月現在、25人が参加している。メンバーのほとんどが、プロジェクトに参加するまで盆栽のことをまったく知らなかったという。

 現在の主な活動は、SNSなどでの情報発信と、地域のイベントなどで行う盆栽のワークショップだ。盆栽の知識や技術を学ぼうと、学生たちは月に1、2回、高松市内の盆栽職人の元に通う。職人の指導で「こけ玉」(松の根を土で球状に覆い、こけを糸で巻き付けたもの)や「盆景」(盆の上に石や砂などを配して自然の景色を表現したもの)づくりに挑戦している。

 完成させた「マイ盆栽」は、フェイスブックやインスタグラムに投稿。タイムラインを見ると、それぞれの感性を生かした「カワイイ」盆栽の数々が出てくる。フェイスブックのフォロワーは約1700、インスタグラムは約6000。海外のフォロワーも多く、コメント欄には英語のコメントが並ぶ。学生たちは、絵文字も駆使して、一つ一つのコメントに返信する。

 学生たちがプロジェクトに参加した理由はさまざまだが、初めから「盆栽が好き」で参加するメンバーはいないという。岡山県出身の首藤さんは「大学生が盆栽をやるんだ」という新鮮な驚きから参加を決めた。「母からは『大学デビューの方法を間違えたんじゃ』と言われました」と苦笑する。

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古川教授が明かした結成当時の秘話とは?