また、総合格闘技などの台頭などで長らく不振が続いたプロレス業界では「プ女子」という言葉も誕生。

 大手メジャー団体「新日本プロレス」を中心に、それまでリングとは距離を置いていた新規の女性ファンを獲得することで人気復活の兆しを見せている。

 さらに、同氏は女性ファンと男性ファンの“寿命”の違いにも言及する。

「一概に断定はできませんけど、男性ファンよりも女性ファンの方がタレントを長く応援してくれる印象はります。昨今流行りのアイドルを例に出すと、男性ファンはタレントに恋愛スキャンダルが噴出したり、アイドルを“卒業”して女優や歌手に転向したりすると、一気に熱がさめて離れていく人も多い。それに比べて女性ファンは、タレントがアイドルからシフトチェンジしようと、熱愛が発覚しようと、結婚しようと、何だかんだと不満を言いながらも見捨てずに応援し続けてくれる人が多い印象です」

 そのうえで、こうも続ける。

「ぶっちゃけ言えば、男性タレントの方が女性タレントよりも総じて稼働期間が長いという根本的な理由もありますけどね。女性タレントは結婚を機に家庭に入ったり、芸能界から距離を置いたり、産休や育休などで芸能活動をしにくくなる期間も出てきます。その点、男性タレントは結婚や子供ができても、独身時代と変わらぬペースで芸能活動を続けるケースが多いですからね」

 もっとも、近年は昔に比べると結婚や出産後も芸能活動を続ける女性タレントは増えており、“ママタレント”や“主婦タレント”といった新たなジャンルも芸能界に確立された。

 そして、元々同性ファンの多いモデルはもちろん、独身時代はどちらかと言うと同性よりも異性のファンが多かった元アイドルや元グラドルに関しても、ママタレント、主婦タレントへのシフトチェンジにあたっては、同性ファンの獲得や支持がより重要な人気のバロメーターとなっている。

 こうした諸々の事情を考えると、やはり今の日本の芸能界、エンタメ業界は女性に支えられている部分が大きく、芸能界の住人たちが女性顧客を意識した男性タレントビジネスにより力を入れるのも頷けるところである。(三杉武)

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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