大流行を見せるインフルエンザ。自分や家族がいつかかるかと戦々恐々としている人は多いだろう。具合が悪ければすぐに受診したくなるところだが、医療現場からは“意外な声”が聞こえてきた。
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インフルエンザの流行がとどまるところを知らない。
1月31日現在、全国の患者報告数は25万9063人。前週の25万6833人からさらに増加し、1医療機関あたりの患者数も52.35人と、統計を取り始めた1999年以来最多となった。
こうなると、のどが痛い、頭が痛いなど、少しでもそれらしい症状が出ただけで、「もしかしてインフルエンザ?」と不安になり、ひどくなる前に一刻も早く病院へ行かなければ、と気持ちが急く。厚生労働省のホームページにも「インフルエンザにかかったらどうすればよいのですか?」という質問に対して「具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう」とある。
具合が悪ければまず医療機関に行き、細長い綿棒で鼻の奥をこすり採取した液体を試薬につけて調べる、いわゆる「迅速検査」を行い、インフルエンザかどうかの検査をする。インフルエンザであると判明すれば、抗ウイルス薬を服用する、というのがインフルエンザ治療の基本になりつつある。
しかし、今これに一部の医療現場から「待った!」の声がかかっているのだ。茨城県つくば市・坂根Mクリニックの坂根みち子院長はその理由をこう話す。
「検査で『陽性』と出れば確定ですが、『陰性』の場合は、『否定はできない』というだけです。ウイルス量が少ないとひっかかってこないですし、その段階では確定できないということに過ぎないのです。たとえば『のどが痛い』となったら、その時点で、何らかのウイルスが体内に入ってきていることは間違いありません。でも、それが風邪なのかインフルエンザなのかは医療従事者でもわからないのです。とにかく一番にすべきは、保湿して早めに充分な休養を取ることです。抗ウイルス薬は、発症後48時間以内の人には使えますが、軽症者には必要ありません。たとえ使ったとしても、回復までの時間は半日ほどしか短縮できないのです」