「俺が出たら派が割れる、青木さん(元参院自民党会長)が、駄目だ、と言うんだよ」
小泉政権発足後は、「抵抗勢力」の代表格として、影響力を失っていったが、野中氏は一貫して、自らの戦争体験から、タカ派色が強い清和会支配の政治に異議を申していた。
昨年、都内で開かれた平成研の前身の経世会のOB 会では、非公開の会合で「憲法改正を絶対に阻止するため、安倍3選は体をはってでもさせない」(出席者)と吠えた、という。
保身に走る2、3世議員ばかりになり、「自民党の劣化」が嘆かれて久しい。
前出の鈴木氏は、「弱者の心音を大事にした叩き上げの平成で最後の政治家ではないか」と振り返る。
かつて経世会で同士も、金丸事件で袂を分かち、敵になった小沢一郎・衆院議員は、「考え方や政治的な立場は異なったが、政治的手腕と力量には他の追随を許さないものがあり、同じ政治家として、いつも感服していた」との談話を発表した。
かつて野中氏と一緒に自社さ政権を作った亀井静香・元政調会長は「巨星墜つという言葉に私の気持ちを込めたい。極めて寂しい。政治の裏方に徹していたが、裏方がいてこそ、表の政治が動く。今は彼のような骨太の政治家がいなくなり残念だ」とコメントした。合掌。(村上新太郎)