だから彼氏を介護するつもりはありません。介護は老人ホームとか病院とか、専門家に任せて家族は後方支援。お花を持って行って、愛してるよって言うのが役割です。ちょっとお金はかかっちゃうけど、親の介護も自分では絶対にやっちゃいけない。

 本人が病院に行きたがらないっていう悩みも多いと思うんですが、まずは家族が病院に行って医学的な知識を持つんです。そうすれば、対処の仕方も習えるし、サイエンスで見ることができる。健康な家族でも30年間、同じネタで喧嘩するんだから、病気だとまず無理なんですよ。全員が沈没しちゃう前に、夫だけを切り離して、子どもを連れて逃げないといけないこともある。そこに道徳とかモラルが入ってくると、逃げ遅れちゃうんです。私も逃げ遅れました。医師とか専門家、家族会に相談して、絶対に自分で判断しない。こらえない。すぐに逃げることですね。

――理想の家族も、ときに諦める必要があると。

 暴力や浮気は、逃げる力がなくて反抗できないところを狙って発症します。それまではずっと他人をダマし続けられるのが、ああいう人たちの生存戦略。だから、先に知識を得て対抗するしかないんです。女の子は、主婦になったら夫がお金をくれないことは暴力であるとか、子どもを連れて逃げるシェルターがあるとか、暴言を吐かれてはいけないとか、そういうことを知識として必ず知っておいてほしい。その他にも、不妊治療にいくらかかって何歳まで治療可能なのかとか、いざという時には無料で相談できる法テラスがあるとか。

 素晴らしい愛のあふれた家庭だけじゃなく、初動が遅れたらものすごい貧困に陥って、そしたらあなたが子どもに対して加害者になってしまうってことを知っておいてほしくて、『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』という本も書きました。

――恋愛のアドバイスもされていますね。

 付き合った男の人がダメと思ったらすぐ別れてね。そのうち変わってくれるだろうって思っているのが1番いけないから。

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「怒らない家」を目指した理由