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2018年に入って、北朝鮮が韓国にラブコールを送り始めた。韓国もこれに呼応する動きを見せている。動きは急だ。
金正恩朝鮮労働党委員長は、1月1日の新年の辞で、平昌五輪について、「代表団の派遣も十分に可能だ」と発言。
2日、韓国の趙明均(チョミョンギュン)統一相が、9日に板門店の韓国側施設「平和の家」で南北高位級当局者協議を開くことを提案したと発表。
5日午前には、韓国政府は、南北の高位級会談開催を北朝鮮が受け入れ、1月9日におよそ2年ぶりに南北による会談が開かれることを発表。
1日の新年の辞で金正恩氏は、米韓合同軍事演習の中止を求めたが、これについても、韓国は米側に五輪後まで延期することを提案し、トランプ大統領もこれを受け入れたことから、韓国国内では対話ムードが一段と高まっているという。
もちろん、北朝鮮のこうした行動がどこまで本気なのかはわからない。これまでの行動からは、単なる時間稼ぎと日米韓の結束にくさびを打ち込むためだけのものだとする見方のほうが、より現実的なように見える。
それでも、この動きが、五輪後すぐにも米朝戦争になるのではないかという懸念をかなりの程度和らげるものであることは確かだろう。
そもそも、米朝戦争など起こりえないという人もいる。その理由は、まず、北朝鮮からそれを仕掛けるのは自殺行為だからありえない。米側から仕掛けることも、それによって在韓米軍や在韓米国人、在日米軍と在日米国人に大きな被害が出る。東京、ソウルが火の海になるような戦争を米側が起こすことは米国利益に合致しないし、同盟国の日韓の利益にもならない。さらに、中国が黙っていない。中国を敵に回せば、世界の種々の問題で中国の協力を得ることができなくなり、外交・通商上米国にとって大きな損失になる。
こう考えれば、米朝戦争など起こしてはいけない。北朝鮮への圧力を強めて、何とか外交努力で解決するしかないということになるわけだ。こうした考え方は、米国務省などの良識派には多いようだ。
しかし、それでもなお、戦争の危機は依然として続いているという見方はむしろ強まっている。そこには、もちろん、トランプ大統領にはこれまでの常識は通用しない、だから戦争を起こしても不思議ではないという前提がある。いつ、その決断を下すのかと米軍部は非常に心配しているともいわれる。