透明感のある高音と、張りのある低音が魅力の歌手・福原美穂。「奇跡の子」と称賛されデビューしてから4年半。現在の彼女に、デビューから現在までを聞いた。
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福原がデビューしたのは2008年。同年には、米ロサンゼルスの黒人教会で日本人として初めてライブを披露し、その歌声が「奇跡の子」と絶賛された。
「歌えること、歌う場所があることは、本当に幸せだと思う」
福原は歌う喜びを繰り返し語る。東京に出てきて歌手となっても、歌うことの原点を忘れない。とはいえ、デビュー当時とは変わったところもあるはずだ。それを聞くと、福原は笑顔でこう答えた。
「顔かな(笑い)。よく、人の生き方は顔に出ると言いますよね。自分でも顔が変わった気がします」
自分の直感を大切にする。昨年6月には、ロサンゼルスに私費で語学留学をした。昼間は学校に通って英語を学びながら、休日にはライブハウスや知人のいるスタジオなどを訪ねた。
満を持して今年6月に発売したアルバム「ザ・ベスト・オブ・ソウル・エクストリーム」は、子どものころから好きだったソウル・ミュージックを前面に出して作詞・作曲をした。新たな試みとして、和田アキ子、Chara、レオナ・ルイスなど、国内外のアーティストと共演したことで「言葉のやりとりでは得ることのできない感動があった」と語る。
福原にとってソウルとは「共鳴」だという。赤ちゃんは泣くことでサインを送り、母親はそれを受け止める。それと同じようなものがソウルだと考えている。
「誰でも口ずさめる曲を作りたいですね。街を歩く人が、耳に入ってきた曲を自然と『いい曲』と感じられるような」
※週刊朝日 2012年9月21日号