もう一つは、「医師にどこまで責任を問うべきか」。医師法では、診断治療を行う主体はあくまで医師本人だとされています。この法制上の縛りをそのまま適用するなら、「最終判断は人間である医師」「医師に責任を問う」という考え方になる。ただ、実際の医師の視点からは、根拠を理解しきれない「ブラックボックス」が残るかもしれません。AIを扱う医師がこうした機器を使いこなすための支援の拡充をはかりつつ、一方で、医師に一律に責任を負わせる現状を見直す政策も選択肢になるかもしれません。市民の目線も入れて、責任の範囲が不明確になり得るアプリケーションを「どこまで許容していくのか」「どのような医療を求めたいか」、じっくり話し合っていくべきです。

 人々が思う「AI」の概念はバラバラ。大切なのは、ツールとして過信しすぎず、過剰に恐れずという態度。「AI」という用語に惑わされず、ツールとしてどう活用していくかを具体的に検討していく段階に入っているのです。

AERA 2023年2月13日号

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