医師の目視による診断にAIを補助的に使うことで、がんの早期発見が期待されている。今後、「医療AI」が普及していくなかで、想定される倫理の問題は何か。東大医科学研究所・井上悠輔さんが語る。AERA 2023年2月13日号の記事を紹介する。
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画像診断など「医療AI」の倫理を考える上で、大きく二つの課題に注目する必要があります。
一つは、AIの品質について。機械学習のAIが組み込まれた場合、ソフトウェア自体が学び、変容していく特性をどう考えるかです。国で事前に承認された効果・効能を担保する従来の薬や医療機器の考え方とは違う。AIが学習するほど性能が高まるポテンシャルもあれば、一部の患者には当てはまりが悪くなる可能性もある。質の確保に加え、誰のニーズに向き合うかという問いが生まれます。