東京商工リサーチの調査によると、2016年の都道府県別の社長「輩出率」は、徳島県が3年連続でトップだった。また、社長が出身地の都道府県にとどまる「地元率」は沖縄県が94.1%と他を圧倒、調査開始以来、7年連続のトップを守った。
出身地の上位は東京都、北海道、大阪府、愛知県など、大都市圏や中核都市が上位を占めた。社長の「地元率」は、地理的条件が影響した沖縄県や北海道を除き、愛知県や広島県、静岡県の比率も高かった。地域内に自動車産業など裾野の広い基幹産業を抱えており、社長「地元率」にも影響していることがうかがえた。
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■社長「輩出率」、徳島県が3年連続トップ
「輩出率」トップは、3年連続の徳島県で1.36%(前年1.37%)。県民性は堅実・実利を尊び、質素・倹約のストレス発散が「阿波踊り」との説もある。現在、ブロードバンド環境に取り組み、先端産業・ベンチャー企業集積を目標に掲げている。
徳島県の人口は74万9,014人(2017年1月1日時点)。18年連続で減少し、戦後初めて75万人を割り込んだ。関西圏に近く、住民の転出が転入を上回る状況が続き、社長「輩出率」トップには人口動向が関わっている可能性もある。
■首都圏のベッドタウンは「輩出率」が低率
2位は山形県の1.28%。「辛抱強くて、堅実」な県民性に加え、江戸時代から商工業が活発な土地柄で、絹織物「米沢織」や「山形鋳物」など伝統工芸品が数多くある。
東京商工リサーチが9月にまとめた「全国明治創業企業調査」で、山形県は明治創業率が最高の1.9%と全国平均(0.7%)を大きく上回り、老舗企業が目立った。ただ、1985年に126万人だった人口は、2016年10月には111万人に縮小し、人口減少が進行している。次いで、香川県1.19%、秋田県1.16%、愛媛県1.04%の順。
一方、輩出率が低いのは47位に埼玉県(0.26%)、46位に千葉県(0.27%)、45位に神奈川県(0.33%)と首都圏のベッドタウンが続く。