野手ではかつてドラフト1位で2球団が競合した松本啓二朗(前DeNA)が最大の注目選手だ。チームに似たタイプの外野手が多くてなかなか一軍に定着することはできなかったが、シュアなバッティングと高い守備力は魅力。今シーズンもイースタンでは3割を超える打率を残しており、うまく機会を与えればブレイクするだけの潜在能力はまだまだ持っている。同じくドラフト1位で移籍からブレイクした大田泰示のいる日本ハムなどは中堅層の選手が少ないだけに獲得を検討してもよいだろう。

 同じ外野手では福田将儀(前楽天)も面白い。その武器はスピードと高い守備能力。ルーキーイヤーの2015年にはいきなり67試合に出場して5盗塁をマークしている。打撃の確実性には難があり、年々出場機会を減らしているものの、まだプロ入り3年と若さがあるのも魅力である。外野の広いナゴヤドームを本拠地としており、若い右打ちの外野手が不足している中日などは活躍の場があるかもしれない。

 野手でもうひとり注目したいのが奥浪鏡(前オリックス)だ。今年の5月に運転免許停止処分中に運転して人身事故を起こしたことから8月に選手契約を解除されている。しかし逆に言えばプレー以外の面で退団しただけに、選手としての将来性はまだまだあるはずである。入団1年目から二軍ではチームトップの本塁打数をマークしているように、その長打力は大きな魅力である。

 社会的な罪は小さくないものの、既に処分は受けており今年で高校卒4年目とまだまだ若いだけに再チャレンジの場を与えることもぜひ検討してもらいたい。若手の長打力不足が課題でDHのあるパ・リーグに所属しているロッテなどは補強ポイントと合致するだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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