親と園とのコミュニケーションを改善するために、スマートフォンで撮影した写真やコメントを、パスワードの入力で閲覧できるシステムも普及しています。2011年にスタートした「Storypark」は、保育施設(親が運営する小規模センターを除く)の50%以上で利用されており、今では世界23か国で利用されています。親への情報提供も効果的で、教育省の親向けのウェブサイトでは、保育施設の種類、保育施設の選び方、保育施設に対して不満があるときの対処方法、親の保育施設とのかかわり方など、親として知りたい情報がコンパクトに整理されています。保育施設を探すサイトや、各保育施設の評価レポートが読めるサイトにもリンクが貼られています。

■保育効率化の兆し

 日本でも、保育効率化の動きが少しずつ出てきています。園レベルで、ICTを園児の情報管理、親との情報共有、写真等の申し込みや集金などに活用する動きのほか、自治体の保育業務効率化の動きも出てきました。たとえば、町田市(東京都)では、入園の際の利用調整にあたって、パソコン上で入園の必要性の高さを表す指数の順に並べ替え、各園の募集定員の枠に振り分ける自動選考システムで行うようになりました。これによって、概ね1週間かけていた作業が効率化され、4日削減することができたそうです。親にとっても、ホームページの保育所一覧から、保育理念や園庭の有無、駐車スペースやベビーカー置き場の有無、アレルギーへの対応、購入する必要がある物など、知りたい情報をまとめた「施設情報」を開くことができるほか、「保育料シミュレーション」のサイトで、収入などを入力すると、保育料の概算が確認できます。今月からは、各園のページから福祉サービス第三者評価結果のページにもリンクされました。

 また、駅近くで増える待機児童解消のため、バスでの送迎により、環境に恵まれた郊外の園を有効活用したり、定員に余裕のある保育施設で、学童の一時預かりができるようにするなど、既存施設の有効活用も図られています。町田市は保育業務を見える化し、他の自治体と業務プロセスやサービス水準を比較し、外部委託化やICT化も含め、効果的な業務プロセスを確立することを目指しています。

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