どこにどんな園があるのかを知りたくても、市町村からは認可施設の情報しか提供されないケースも多く、認可外施設の情報は都道府県から集めなくてはなりません。国は企業主導型保育事業で7万人の受け皿確保を目指しますが、これも認可外施設なので、地域住民が利用できる枠がどこにどの程度あるかという情報も、市町村から提供されない可能性もあります。
認可と認可外、認定こども園、幼稚園の預かり保育、小規模保育、企業主導型など、保育の種類が多く、何がどう違うのかもよくわかりません。園を選ぶ基準も、対象年齢や保育時間といった基本的な情報に限定されがちで、ホームページのない園もあるので、細かなことは電話で問い合わせたり、足を運んで聞くしかありません。この見学すら予約が取れない園もあり、実際に見学できたところで、園選びに関する知識がないため、何を基準に選んだらよいのか悩む人もいるほどです。
■隠れた自治体の負担
認可保育所は基本的に自治体に申込み、誰がどの園に入るのかを自治体が調整して決めますが、親たちがこうした苦労を乗り越えて申し込みを終えた後、各自治体では入園審査を担当する職員たちの苦労が始まります。誰を優先させるかについて、各自治体で細かな基準を定め、その基準に沿って振り分けますが、申込みの書類には複数の希望園が書かれており、それをミスなく入力するだけでも膨大な作業となります。併せて提出される勤務先が発行する勤務証明書と、保育所の利用時間が合ってるかもチェックしなければなりません。申し込みの多い自治体では相当の業務量が発生しているはずですが、そのコストはほとんど把握されていません。実際に、待機児童数で毎年上位に入る東京都内のある自治体の担当者は「入園審査時期はものすごく大変だが、業務量などは把握できない」と話していました。