ただ一つ言えるのは、三村がヒロミとの共演をNGにしても活躍の場を失わないだけの実力を持っていたということだろう。
また、“プライベートのトラブル”で多いのが恋愛絡みだ。
過去に交際していたものの破局したり、離婚したりといった直接的なケースから、相手が元カレ、元カノと交際、結婚しているといった間接的なケースまで事情はさまざまだが、プライベートの恋愛に端を発した共演NGは確かに実在する。
ただ、たとえプライベートでは破局を迎えても、双方が仕事のパートナーとしては気にしないという考えであれば、共演NGにならない場合もある。
明石家さんまと大竹しのぶは離婚後もたびたびテレビ番組などで共演を果たしているし、自分たちの離婚劇すら笑いに昇華にするプロ意識やたくましさを見せつけている。
今年9月まで放送されたテレビ朝日系ドラマ「やすらぎの郷」では、俳優・石坂浩二が元妻の女優・浅丘ルリ子や元カノの加賀まりこと共演して話題を集めた。
ちなみに、「ますだおかだ」の岡田圭右とタレント・岡田結実のように父娘でも共演NGになっているケースもある。
芸人という立場や自身の芸風上、現状での娘との共演は双方にとってプラスに働かないという父親サイドの判断なのだろう。
さんまも、元妻の大竹とは共演する一方、娘でタレントのIMALUとの共演は避けている傾向が見受けられる。
さんまや岡田の芸人としてのプロ意識の高さの表れなのだろう。
このように芸能界における共演NGの背景にはさまざまな要因があるわけだが、それはけっして普遍的なものではなく、その時々の双方のタレントとしての商品価値や立場、市場の変化などによって刻々と変化するものだ。
テレビ離れが叫ばれる昨今だからこそ、テレビマンにはいわゆる業界の“常識”に捉われたり、大物タレントや大手芸能事務所の意向を忖度したりすることなく、視聴者が驚くような挑戦的なキャスティングでの番組作りに励んでほしいものである。(芸能評論家・三杉武)