中村:国の制度ミスですよね。
濱田:完全に制度ミスです。田舎のほうの特養では、理事長が議員で奥さんが施設長とか、そんなの山ほどありますからね。ただ、ぶっちゃけ15万円の特養と25万円の介護付き有料老人ホームとどっちが上等かっていったら、特養ですよ。3倍くらい上等ですよ。スタッフもたくさんいるし。特養に入れたらラッキー。そして金持ちから特養に入れる。するとお金がない人は、いわゆる囲い込みの医療とか介護を集中的に利用させて利益を出すようなところに行かざるを得なくなって、ここでも社会保障費垂れ流し……というわけです。昔ながらの4人部屋タイプの特養は今もいっぱいで数年待ちですよ。
太田:地域によってそうとも限りません。特養は弱者救済の使命もあるので、所得によって費用が軽減されます。入所の順も必要性の高い人からなので、所得が多くない独居の人が優先される場合が多いですよ。
濱田:微妙な話ではあります。これから超高齢化で認知症の高齢者もガンガン増えるわけで、特養は今後、認知症高齢者中心の施設になるでしょう。
(構成/石川美香子)
<プロフィル>
太田差惠子(おおた・さえこ)/介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科前期課程修了。「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点で執筆、講演を行う。主な著書に『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本』 (翔泳社)、『親の介護で自滅しない選択 』(日本経済新聞出版社)など
中村寿美子(なかむら・すみこ)/介護コンサルタント。SOMPOケアメッセージ、SOMPOケアネクスト顧問。都内の有料老人ホーム勤務後、1997年、都内に有料老人ホーム展示場を開設。2017年7月から現職。相談業務のほか行政、民間企業向けセミナーも手がける。主な著書に『死ぬまで安心な有料老人ホームの選び方 子も親も「老活!」時代』 (講談社+α新書)など