◆新党が二つ誕生しても投票したい党がない絶望感

 候補者や政党に対する不信が高まる中で、さらに心ある市民を絶望に追い込むのは、新たに二つも政党ができたのに、そのいずれもが、自民党と本当に正面から対峙できる政党になっていないということだ。

 7月3日の本コラムでも述べた通り、政策の対立軸を「改革派vs.守旧派」と「タカ派vs.ハト派」という二つの軸で見た場合、図に示す通り、自民党が、国内では改革ができず、既得権と癒着した政治を行い、対外的には極端なタカ派政策を採っているので左上の第2象限に位置付けられる。本来は、これに対峙するのが、既得権と戦い庶民のための改革を実行できる政党であって、しかも戦争を絶対にしないハト派、つまり、自民党と対角線上の右下に位置取りする政党でなければならない。

 しかし、実際には、新たにできた希望の党は、自民党と同じタカ派だ。さらに、小池知事が「改革」を唱えているので改革派のようにも見えるが、これまでの東京での実績を見ると、ほとんど改革らしい改革はしていない。むしろ、その強権ぶりと不透明な政治姿勢ばかりが目立ち始めている。そこで7月3日に掲載した図では小池氏を改革派として位置付けていたが、今回は、どちらかというと守旧派と改革派にまたがるところに位置付けることとした。ちなみに、連合に支援を求めていることからも公務員改革や天下り改革は実際には何もできないだろうということが推測できる。そうなると、希望の党は、四つのゾーンでは自民党とあまり変わらない左上の第2象限に近い位置付けとなってしまう。

 一方の立憲民主党は、今回の分裂劇により、以前の民進党に比べるとハト派の位置づけがはっきりした。しかし、相変わらず、連合とべったりで、改革はできそうもない。ということで、図では第3象限の改革できないハト派のゾーンに位置付けられる。

 この結果、多くの無党派層が期待する、既得権と戦い改革はしてくれるが、戦争を絶対にしないハト派という右下第4象限の政党が依然として存在しない状態が続くことになる。今ある希望、立憲民主、共産などの政党が仮に連合して政権交代ができたとしても、おそらく多くの無党派層が期待する政治はできないであろう。

◆微かな希望は年末の野党再編第2弾

 こう分析すると絶望的な気分になるが、希望がないわけではない。それは、選挙後に希望の党の中で、小池氏の強権的な政治姿勢に対する反発が高まるとともに、憲法改正や北朝鮮対応などでタカ派的な路線がより明確化されれば、面従腹背していたハト派色の強い改革派が離党して新たな政治勢力を作る可能性がある。すでにそういう話をしている前議員もいるほどだ。

 新党設立のタイミングは、新党が来年の政党助成金をもらうための条件となる今年末だ。このシナリオが動けば、野党再編第2弾の幕開けは、意外と近いのかもしれない。