国公立、私立問わず激化する医学部入試。とくに私大は難化が著しい。その理由は、多くの大学で学費を大幅に値下げしたことにあるという。発売中の週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、医学部でかかる学費を徹底調査。「6年間でかかる学費」ランキング表を掲載し、偏差値との相関性を分析している。
* * *
大学通信の調査によると、医学部の6年間の学費は、国立大の約350万円に対し、私大は平均で約3200万円。もっとも安い国際医療福祉大で1910万円、もっとも高い川崎医科大だと4726万5000円と、国立大の約13倍になる。
駿台予備学校市谷校舎の竹内昇校舎長はこう話す。
「国公立大医学部志望者は、志望する大学を目指せばいいのですが、私立大医学部専願や併願の場合には、学力的に行ける大学と経済的に行ける大学が一致しないことがあります」
高学費だと払える家庭は限られるが、学費が安くなるにつれて払える家庭が増え、受験生が集まる。このため、学費が安くなると偏差値が高くなる傾向がある。つまり、学費と偏差値の高さは反比例の傾向にあるといえる。
学費を大幅に値下げして、偏差値が大きくアップしたのが順天堂大だ。
2008年に6年間の学費を約900万円も安くした結果、成績優秀な志願者が増え、現在は慶應義塾大、東京慈恵会医科大に次ぐ難易度となった。
その後、昭和大、東邦大、東海大なども値下げ。14年に1169万円もの大幅値下げをした帝京大は、107人の定員(一般入試)に8334人が出願。約78倍の高倍率となり、偏差値も高くなった。
受験生が多い首都圏(1都3県)には、16の私大医学部がある。
「首都圏では、家賃や生活費がかかる地方の国公立大に合格したときに、自宅から通えて比較的学費が安い私大を選ぶケースも増えています」(竹内校舎長)
■私大が高いのではなく、国公立が安すぎる
首都圏では、学費を下げると地方の国公立大に合格する学力がある生徒が入学するケースも少なくないため、学費を下げたいと考える私大医学部関係者も少なくない。だが、首都圏のある私大の医学部教授は、こう本音を漏らす。