

北朝鮮のミサイル脅威、森友、加計疑惑……。論議すべき問題が山積しているのに、28日に開かれる臨時国会の冒頭で衆議院が解散される。SEALDsにかつて所属した諏訪原健さんが安倍政権の“暴挙”に物申す。
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つくば駅(茨城県)のホームで電車を待ちながら、電光掲示板に流れる「ミサイル発射のため…」という文字をぼんやりと目で追っていた。
東日本の12道県でJアラートが9月15日の早朝、鳴り響いたからだ。
今回は北関東も対象となっており、私が乗ろうと思っていた電車もその影響で遅れていた。
ミサイルが飛行したのは「日本上空」といっても遠く離れた宇宙空間であって、落下したのも襟裳岬から2000キロメートル以上離れた場所だ。このミサイルが日本に向けて発射されたものとは言いがたい。それがわかっていても、何度も流れてくる「ミサイル発射のため…」という文字を見ていると、いつから日本はこんなに物騒な国になったのだろうとついつい思ってしまう。
そんな不安につけ入るかのように、安倍首相は20日の国連総会で、北朝鮮に対して「必要なのは対話ではない。圧力だ」と熱弁した。「対話」による解決を強調する国際的な世論からするとどう考えても異様だが、北朝鮮に対して大きな危機感を覚えていれば、そんな言葉も心強いものに思えるのかもしれない。
9月28日に開かれる臨時国会の冒頭でいよいよ衆議院が解散される。
森友学園や加計学園の問題について、これ以上国会で追及されることを避けようとする思惑があるのだろうが、そのために発足したばかりの「仕事人内閣」に、仕事をさせる暇も与えないのだから、何ともシュールだ。
自民党は衆院選に向けて、住宅へのシェルター設置を公約に掲げるという情報まで出ている。北朝鮮という外敵の存在を誇張することで、内政の問題から目を背けさせ、権力基盤をいっそう磐石にしようという考えは、姑息だとしか言いようがない。