しかも思い返してみれば、自民党は憲法改正で緊急事態宣言を加えるべきだと主張していたのだ。北朝鮮の危機を煽っておきながら、解散・総選挙に踏み込もうとしているのだから、まったく辻褄が合わない。

 彼らは国民を愚かな群衆だとしか思っていないのだろう。危機を煽ることで外に目を向けさせれば、内政の問題は忘れ去られ、自分たちの地位は安泰になると信じているのだろう。こんなことのために衆議院が解散させられ、総選挙のために約700億円が費やされるのだ。あまりに馬鹿らしく、この社会に生きる者の代表として、その資質を疑わざるを得ない。

 外敵の存在を強調し、群衆に強く危機感を刻み込むというのは、実にうまいやり方だ。危機的状況の中では、政府に対する批判も「反日」とか「売国奴」とかいう言葉の下に無力化される。しかし、それでもおかしいことにはおかしいと言わなければならない。私は今の政府に対して、率直に強い怒りを覚える。こんなやり方はあまりに卑怯だ。次の衆院選、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と思う。(諏訪原健)

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諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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