米国は、米アップルに軍配を上げた。8月24日、米カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は、韓国サムスン電子によるアップルの特許侵害を認め、サムスンに10億5千万ドル(約830億円)の賠償を命じた。

 発端となったのは昨年4月。アップルが、スマートフォンやタブレット端末に使われている技術やデザインの特許をサムスンが侵害していると提訴したのが始まりだった。

 その後、同様の裁判はドイツやオランダ、オーストラリアなど世界10カ国・地域に広がり、訴訟件数は50件以上に及ぶ。

 日本でも8月31日に国内初となる中間判決が下された。昨年8月、アップルがサムスンに1億円の損害賠償を求めて提訴したもので、東京地裁はサムスンの特許侵害を認めず、アップルの訴えを退けた。

 勝ち星では拮抗していても、冒頭で触れた米国での一敗はサムスンに大きなダメージを与えるかもしれない。

「市場の大きさや注目度の高さの面から、他国での負けとは意味合いが異なる。これによって、サムスンには"三重苦"が課せられた」(業界関係者)

 そのひとつが超高額な賠償金だ。サムスンがアップルに支払う約830億円の賠償金は、サムスンの今年4縲鰀6月期の純利益の約4分の1に及ぶ額だ。

 二つ目の"苦しみ"とは、「企業イメージの凋落です」(前出の業界関係者)

 日本では一部のネットニュースや週刊誌などで、「世界的パクリ企業」と揶揄され、日本でのサムスン端末の販売に影響が出ることを懸念する声も少なくない。

 株式市場には「敗戦」の影響が如実に表れた。米国での敗訴から3日後の8月27日にはサムスンの株価が韓国証券取引所で急落した。時価総額では、前週末より約9700億円も急落し、韓国メディアは「特許ショック」と報じた。

※週刊朝日 2012年9月14日号