そのため、私は日頃から「なるべく大声を出さないで注意する」ということを心掛けています。将来の息子を、感情的かつ一方的に、相手を責めたてるような人間にしたくないからです(蜘蛛を素手でぶったたいたときはさすがに悲鳴に近い大声が出ましたが)。

 だからといって、親の言うことを聞かず好き勝手にイタズラをしてもいい、わがまま言い放題で育って構わない、というわけにはいきません。「ご飯よりも、もっとお菓子を食べたい」「帰る時間だけどまだ遊びたい」、そう言い張ってきかない子どもに、「畏怖する対象」は必要だと思っています。ただ、その対象が親でなくてもよい、もっと言うなら「人間でなくてもよい」のです。親が怒って、てんやわんや声を荒らげて言うことをきかせるより、何かに対し自発的に怖がってもらうほうが、すんなり言うことを聞いてくれるし、喧嘩にもならないし、大声を出さなくてすむし、とってもラクチンです。

 うちの場合は、鬼と魔女を利用しています。夜にまだ寝たくないとごねたら、「もう9時かぁ、夜遅いねぇ……、鬼が散歩してる時間だね」「あっ! 今そこの窓から鬼がのぞいていたんだけど!?」と、我ながら迫真の演技で息子を怖がらせます。鬼は夜に寝ていない子を食べてしまう設定です。ちょうど良いことに、スマホには寝ていない子どもにむけて「今から行くからな!」と電話をくれる「鬼から電話」という素晴らしいアプリがあります。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年この本が読みたい!「本屋大賞」「芥川賞」「直木賞」
次のページ