南アフリカ戦でソロ本塁打を放った清宮(c)朝日新聞社
南アフリカ戦でソロ本塁打を放った清宮(c)朝日新聞社

 初の世界一の期待がかかったU–18ベースボールワールドカップだったが、オープニングラウンドでは米国に、スーパーラウンドではカナダと韓国に敗れ、残念ながら決勝に進むことはできず3位に終わった。

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 清宮幸太郎(早稲田実)の高校での公式戦はこれで終了となるが、大会後のインタビューでは「すごく申し訳ない」とのコメントもあったように、期待された結果を残すことはできなかった。進路はまだ発表されていないが、今後の清宮の課題について、今大会で見えてきたものを解説する。

 まず大きいのは木製バットへの対応である。金属バットを使うのは高校までで、プロでも大学でもバットは木製であり、これに苦しむ選手は少なくない。木製バットは金属バットに比べていわゆる“芯”と呼ばれる部分が狭く、より高度なミート力が求められる。また、芯を外した時の衝撃は木製バットの方が大きく、当然折れることも珍しくない。

 高校球児でも特に冬場などでは木製や折れにくい竹のバットを使って練習しているケースは多く、清宮も夏の西東京大会終了後からは木製バットで練習していたという。ただ練習のボールと試合のボールでは当然質が違い、特に今回のような国際大会では投手のレベルも高くなる。金属バットでいわゆる一般的な高校生を相手にしていたのとは三段階くらいレベルが上がっていると言えるだろう。

 さらに、木製バットを使うことによる難易度は物理的なものだけではない。より正確に、より強くボールとコンタクトしないといけないという意識から、スイングの形を崩してしまうことも往々にしてあるのだ。今大会の清宮を見ていても、明らかに夏の西東京大会とは形が崩れていた。

 特に気になったのが右足を上げた時の姿勢だ。強く振ろうという意識が強すぎるせいか、テイクバックで肩が回転する動きが見られ、スイングする時の右肩の開きが明らかに早くなっていた。右肩の開きが早くなればそれだけ外のボールにバットが届かなくなり、縦の変化にもついていくことができない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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