敗れた韓国戦では、サウスポーのハ・ジュンヤンの外に逃げる変化球に空振り三振を喫したが、完全に体勢を崩されてのものだった。昨年秋の東京都大会決勝で桜井周斗(日大三)の縦のスライダーに5三振を喫して以降はここまで崩されたことはなく、改めて本来のスイングができていないと感じるシーンだった。

 清宮のフォームを改めて見てみると、その良さはスイングの柔らかさにある。ただ一方でリストを柔らかく使いたいという意識からか、タイミングをとる時にバットを揺らしてヘッドが中に入りすぎるのは気になるところだ。金属バットでは多少振り出しが遅れても芯が広く、反発も大きいために長打にできていたが、木製バットでレベルの高い投手から打つためには無駄な動きが命取りになることは間違いない。

 もうひとつ気になるのは下半身の使い方である。踏み出した右足のひざが少し早く開く傾向があり、体を後ろに残せずに手だけでスイングしてしまうことがあるのだ。

 しかしこれらの弱点は、高校生の打者であれば誰もが持っているものである。近年では清宮と同様に左のスラッガーとして注目された筒香嘉智(横浜高→DeNA)も高校時代は反動を大きくつける癖があった。筒香の場合はバットの動きは大きくなかったものの、トップの形を作る時に体が逆向きの「く」の字になり過ぎる傾向があり、ヘッドが遅れて出てくる要因となっていた。

 横浜高の小倉清一郎部長(当時)もその当時の筒香について「120キロから138キロくらいのスピードは黙っていても打てるが、それよりも速いボールと遅いボールの緩急には対応できない」と語っていた。実際にプロ入り後は二軍ではいきなり結果を残したものの、完全に一軍に定着したのは5年目のことである。

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