次期衆院選の結果次第では「総理のイス」に直結する自民党総裁選。再選を目指す谷垣禎一総裁(67)の対抗馬として安倍晋三元首相(57)や町村信孝元官房長官(67)らが名乗りを上げそうだが、谷垣氏周辺は「最大のライバルは石破茂前政調会長(55)だ」と高度警戒態勢だ。
石破氏のキャッチフレーズ案は「自民党リセット総裁」。2009年の政調会長就任時に額賀派を脱会した経緯を踏まえ、長老や派閥と一線を画した党運営を目指す。
陣営は「衆院選のポスターに誰と一緒に写りたいの?」という口説き文句で、苦戦が予想される議員票の拡大を狙う。ある中間派の議員はこう明かす。
「総裁選で党員に投票を頼めるのは石破さんしかいない。他の人の名前を出したら嫌な顔をされた」
さらに追い風も吹いた。「問責決議政局」だ。
自民党は8月29日、自民・公明両党を除く野党7会派が提出した、消費増税を非難する首相の問責決議案に賛成した。可決を優先して「3党合意」を自己否定した谷垣執行部の対応は、メディアだけでなく友党の公明党からも批判された。
「谷垣さんは下手をうった。民主党の偽メール事件と同等のダメージだ。熱心な自民党支持者ほど『谷垣は何をやっているんだ』となる」(石破氏周辺)
石破氏は、麻生太郎元首相(71)が勝った08年総裁選では25票しか取れず、5人の候補の中で最下位に沈んだ。09年の総裁選は出馬さえできなかった。「石の上にも4年」でついに殻を破るかどうかが焦点だ。
※週刊朝日 2012年9月14日号