個人が発行したVA(仮想株式)を売買できるサービス「VALU(バリュー)」で、人気YouTuberヒカルが8月15日、高騰した自身のVAを売り抜け、価格が急落する騒動が起きた。上場からわずか6日後のことだ。ツイッターには、「詐欺行為だ」「だまされた」と批判が殺到し、現在も炎上している。チャンネル登録者数240万人(9月2日時点)を超える日本トップクラスのYouTuberはなぜ、疑いを招きかねない行動に出たのか。一連の騒動について、渦中のヒカルが初めてメディアの取材に応じた。近く今回の件について語った動画を投稿するという。
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――VALU騒動からおよそ2週間がたちました。
視聴者さんはもちろん、今回の騒動に巻き込まれた人に対して伝えたいことがあります。僕自身に反省すべき点がたくさんありました。ご迷惑をおかけしたみなさんに謝罪したい。
――反省点とは?
知識がない分野に安易に足を踏み入れてしまったことです。そして自分の影響力の大きさを甘く見ていたことも反省しています。
――そもそもVALUで何をしたかったのですか?
目立ちたかったのが本音です。YouTube以外の分野でも活動したい思いがありました。僕と、同じ事務所に所属する禁断ボーイズのいっくん、ラファエルの3人で、「誰がVALUの時価総額や価格のランキングで上位になるか」を競う動画の企画でもありました。
――8月9日のVALU上場、「明日、一気にバリューで動く!」というツイート(同14日)を経て、15日にはVAを売却しました。VAを売ったことで得た利益はいくらですか?
僕個人としては約4千万円。彼ら2人のVAも値上がりしていたので、2人の利益が約1千万円です。
――タイミングを考えると、利益を得るために「売り逃げた」と感じる人も少なくないと思います。「お金をもうけよう」という気持ちはありましたか?
ゼロです。そこははっきりと否定させてください。VALUでお金を稼ごうと考えたことは一度もありません。僕らの知名度を上げるためのツール、動画のネタにしたいという思いしかありませんでした。
――とはいえ、利益が出ると認識されていましたよね。
はい。もし利益が出たら、なんらかの形で視聴者さんに還元したいと考えていました。
――8月17日にVA(時価5465万円相当)の買い戻しを発表されましたが、いつまで続く予定ですか?
18日にすべての買い戻しが完了しました。
――VALUでは、発行者がVA保有者に対して優待を提供することができます。ヒカルさんもVALU上で、上場前にVA保有者限定のオフ会やセミナーの開催を示唆する投稿をしていますが、VAを売った後に「僕からの優待には何も期待しないでください。今のところ何も考えていません」と矛盾するような投稿をしています。
すでにSNSなどで公表している通り、優待を示唆したといわれている投稿は、初期設定時に動作確認のテストとして行ったもので、上場前に優待欄(発行者が優待情報を載せるページ)から自動的に削除される設定になっていました。実際に優待欄からは上場前に削除されましたが、タイムライン(履歴欄)に残ったままになっていました。
――そうした経緯が事実だったとしても、やはりヒカルさんはVALUで利益を得ようとしていたと感じる人もいると思います。その疑惑が晴れる日はこないかもしれません。
そうかもしれません。総じて僕の知識不足と軽率な判断、行動が招いてしまったことです。信じてもらうしかありません。