おそらく世界で初めて自動車ができたときにも、同じようなことがあったはずだ。新しい技術に関心が持てない人は「やはり馬車がいい」などと、何が「やはり」なのか理解に苦しむ発言をしていたに違いない。単に自分が保守的なだけにもかかわらず「機械は誤動作することもあるから」などと、乗りたくない理由をうまく見つけていただろう。あたかも、スマホを眺める人がこれだけ増えたのに、新聞や雑誌は紙でなくてはと考えて拘泥する出版関係者のようだ。
最近でいえば、VRを体験しているかしていないかは大きな違いだ。そこに大いなる可能性を感じるのも、子どもだましだと批判するのも、体験してからだ。もちろん私は可能性を感じているが。
そういえるのも自分で体験したからだ。ちなみにドローンもセグウェイも所有している。なぜなら、そうしないとVRやドローン、セグウェイの改善点を実感したり、それを使った新サービスのアイデアを思いついたりなどできないと思うからだ。
新しいSNSができれば即座に実名でアカウントを取得するようにもしている。新しいものに触れ続けていないと、新しい発想は出てこない。
しかし世の中には、新しい技術に興味のない人もいる。未だにスマホを持たずガラケーにこだわってそれが使い勝手がいいと思っていたり、出先でテレビを見るのにワンセグに頼っていたりするビジネスパーソンは、一般的にいえば時代遅れかもしれないが、私からすると新しい技術に興味がないと宣言しているようなもので、文系脳といわざるを得ない。
ただ、ここまで書いたことを裏を返せば、新しいデバイスやサービスにミーハーに飛びついてみる“だけ”で理系脳に簡単に近づくことができるともいえる。
さすがにドローンやセグウェイを買うのは非現実的であろう。しかし、そこまでとは言わなくても、例えばウェブ上には無料かつ、手軽な最先端のサービスがいくらでも転がっている。できる範囲で全くかまわない。その姿勢や態度こそが重要なのだ。
こんなふうに、旬なものに触れているだけで、自分が便利で楽しいというだけでなく、自分の思考を次世代向けにアップデートできるというあまりに大きい副産物があるのだ。