オーストラリア戦の鍵を握る武藤嘉紀(左)(写真:getty Images)
オーストラリア戦の鍵を握る武藤嘉紀(左)(写真:getty Images)

 8月31日に行われるワールドカップ最終予選のオーストラリア戦に向けて、日本代表は27名のメンバーを発表した。勝利すれば、来年のロシアワールドカップ出場が決まる。

 6月のイラク戦でも25名を招集し、もともと多めに選手を呼ぶ傾向のあるハリルホジッチ監督だが、今回は特に多い選出となった。大迫勇也(ケルン/ドイツ)、本田圭佑(パチューカ/メキシコ)、香川真司(ドルトムント/ドイツ)がケガ明けであり、どの程度プレーできるのか読めない状況であるため、彼らのポジションで多く招集している。その結果、27名という大所帯になった。

 この試合に勝てば、ワールドカップ出場が決まる。鍵を握るのは、アタッカーのスプリントだろう。

 オーストラリアのDFは、球際のパワーは強いが、スピードや俊敏性がない。さらに戦術的にポゼッションを好むため、各選手がサイドに広がったポジションを取るのも特徴的だ。この状況でプレッシングがはまり、ボールを奪えれば、一気に中央を攻め落とすことが可能になる。昨年にアウェーで行われたオーストラリア戦で、本田のアシストから原口元気(ヘルタ/ドイツ)が決めたゴールが典型的だ。

 その意味で、今回は1年ぶりとなる武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)の招集が興味深い。彼はプレッシングでボールを奪うのがうまく、飛び出しのスピードがある。それは原口も同様だが、武藤はよりゴールに直結した9番の動きをする。マインツではセンターフォワードでプレーしているため、中央からゴールに直結する飛び出し、あるいは味方がサイドを崩したときにゴール前へ飛び込んでくるコース取り、タイミングの図り方など、他のサイドアタッカーにはない点取り屋の感覚を持っている。オーストラリアが最も嫌がるプレーヤーかもしれない。

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