1985年、フジテレビ系で始まった「ものまね王座決定戦」で脚光を浴び、一躍人気芸人になったコロッケさん。美川憲一さんのものまねで有名になったコロッケさんだが、それは自分の力だけでなく美川さんのおかげと話す。

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「ものまね王座」は、毎回視聴率が30%を超える超人気番組でした。ブームの流れを見ると、お笑いブームの後にものまねブームがやってくるようで、このときは、ツービートさんや紳助・竜介さんなどが活躍した漫才ブームの後でした。

 ものまねというのは、ものすごく作り込む芸です。作り込んでは集積していく。だから一発芸と違って、派手さはないかもしれませんが、芸を磨いてレパートリーを広げておけば、ものまね芸人はちゃんと生き残っていきます。

 新しい笑いを求める世間の空気があって、番組でうまい仕掛けが用意され、活躍の機をうかがい必死に芸を磨き続ける芸人がいる。この3要素がうまくそろい、大ヒットしたのが「ものまね王座」でした。

 美川憲一さんのものまねで、「コロッケ」の名が広く知られるようになったのはこのころです。僕のものまねで美川さん人気が復活したように語られることがありますが、歌手の美川さんが覚悟を決めてバラエティーで芸人と共演してくださるサプライズがあったからこそ僕も注目された。僕の芸だけじゃない。そこを勘違いしちゃあいけないと思います。おかげで、ご本人と一緒にNHK紅白歌合戦に出演し「さそり座の女」を歌うという。夢のような機会を得ることができたのです。

※週刊朝日 2012年9月7日号