阪神・金本監督。逆転優勝への秘策は…(c)朝日新聞社
阪神・金本監督。逆転優勝への秘策は…(c)朝日新聞社

 果たして、阪神は“奇跡”を起こすことは可能だろうか。前半戦を3連勝で締めると、首位・広島との首位攻防戦となった後半戦初戦をメッセンジャーの力投と梅野隆太郎の勝ち越し打で2-1と勝利。しかし、続く第2戦は岩貞祐太が序盤で捕まり、第3戦ではマテオが炎上して大敗を喫し、本拠地・甲子園で1勝2敗と負け越した。貯金7の2位につける阪神だが、広島とのゲーム差は8となっている。

 残りは約60試合。8ゲーム差は確かに大きいが、諦めるのはまだ早い。まずは8月以降に11試合(8月1~3日:マツダ、15~17日:京セラD大阪、9月5~7日:マツダ、18日:甲子園、順延1試合未定:マツダ)を残す直接対決で圧倒することだ。3連戦3カードをすべて2勝1敗で勝ち越し、残り2試合を連勝すれば8勝3敗。一気に5ゲーム差を縮めることができ、残りは4ゲーム差……。不可能ではないはずだ。

 今季ここまでの直接対決は7勝7敗の五分。全5カード中4カードで初戦白星も、第2戦、第3戦で反撃を食らうパターンが続いている。第一のカギは、その全5カードの第1戦に先発して3勝1敗、防御率4.18のメッセンジャーの働き。勝ち越してはいるが、被打率.295と苦労している感もあり、ブルペン陣の負担を減らして第2戦以降に勢いを付けるためにも完投ペースのピッチングを期待したいところだ。

 加えて、第2戦、第3戦でチームを勝利に導くスターターの出現が必要になる。2015年の広島戦で5勝2敗、防御率2.22(今季は1勝1敗、防御率3.21)の能見篤史の奮闘に期待するか、今季8勝を挙げながら広島戦での登板のない秋山拓巳をローテ組み替えでぶつけるか、2軍生活が続く岩田稔の復活を願うか。だが、最も期待されるのは、制球難で無期限2軍調整中の藤浪晋太郎の変身。高卒1年目から3年連続で2ケタ勝利を挙げた23歳右腕の才能に疑いの余地はない。8月以降、藤浪が“広島キラー”として奮迅の働きを見せることができれば、逆転優勝の芽も出て来る。

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