大津市で中学2年の少年が自殺した事件では、学校や市教委のひどい対応が次々と明らかになった。そうした中で、やむにやまれず警察に駆け込む例は後を絶たない。
昨年9月、鹿児島県出水市で中学2年のB子さん(当時13)が自殺した事件も、そうした一つだ。愛する孫を失った祖父(62)が、自宅の居間で涙ながらに語る。
「警察に被害届を出したのは、学校も教育委員会も要求に応じてくれない中で、最後の手段だと思ったからです。孫がなぜあんなむごい死に方をしたのか、どうしても知りたいんです」
B子さんが自ら死を選んだのは、2学期が始まる昨年9月1日の未明だった。自宅から300メートルほど離れた九州新幹線の跨線橋から、高さ約4メートルのフェンスを乗り越えて数十メートル下の線路に落下し、新幹線にひかれて死亡したのだ。
遺族は直後から、学校に自殺の真相究明を要望。出水市教委は9月7日に市教委と校長、臨床心理士ら11人からなる事故調査委員会を立ち上げ、全校生徒へのアンケートを実施した。
祖父は、市教委にアンケートの全面開示を求めたが、拒まれた上に、担当者からこんな言葉を投げつけられた。
「自殺したのは家庭の問題ではないですか」「お孫さんが以前に受けた子宮頸がんワクチンの影響ではないですか」
これが、孫を失った遺族に対する発言だろうか。B子さんは自殺する半月前の8月18日にワクチンを接種したが、詳しい医師によれば、異常行動を引き起こした例は確認されていない。遺族側も今年6月に、「日本国内では自殺との関連をうかがわせる報告はない」とした診断書を、市教委に提出している。
※週刊朝日 2012年9月7日号