こうした懸念は、自民、民進、そして、小池百合子都知事、林文子横浜市長などに共有されたのだろうか。不思議なことに、都議会議員候補者や林市長は、カジノに触れることを極端に避けているように見える。小池知事も。以前から、「社会的な懸念も議論されているので総合的に見ていく」というような慎重な言い回しにとどめ、自らこの話題に触れることはない。

 民進党も党内に多くの推進派議員がいるため、この話題には触れたくない。与野党が争点にしたくない上に、直前まで築地市場の豊洲移転問題が連日メディアに取り上げられていたため、カジノは完全に争点化を免れてしまった感がある。きっと米カジノ資本はほっと胸をなでおろしていることだろう。

■年明けは一気にカジノ選考レースと利権争奪合戦へ

 このままいけば、秋の臨時国会で、安倍政権は難なくカジノ実施法を成立させ、年明けからは、詳細な規制の内容が決まっていくことになる。それと並行して、大阪や横浜など、カジノリゾートを建設したい自治体が、壮絶な誘致合戦を繰り広げるであろう。

 果たして、その中に東京都がいるのかどうか。

 そして、カジノに関しては、極めて多岐にわたる規制が導入され、また関連の予算措置も施される。例えば、カジノ事業者規制一つとっても、事業者だけでなく、その企業の代表者、役員、株主、監査人などに関する規制が入る。カジノを建設する土地所有者や施設所有者も同じだ。施設の数・規模、施設の構造・設備はもちろん、カジノ関連機器の基準等もある。
 型式検定等の認証や製造事業者に関する規制は極めて複雑なものになるだろう。例えば、トランプのカード一つとっても、その仕様だけでなく、カジノがある諸国では工場の施設や従業員に関する規制まで実施している。

 これらに加えて、 カジノ行為(ゲーミング)に関する規制、不正防止のための措置、さらには、カジノ事業を含むIR事業に関する規制として、業務方法書の認可、契約の認可、業務監査、区分経理、財務報告書・内部統制報告書の届け出等細かい決まりが必要だ。

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