もちろん、東京都もカジノ建設地の有力な候補の一つである。というよりも、東京都がどう考えるかはともかく、アメリカのカジノ大資本や日本のカジノ関連企業などが是非カジノ建設をと希望しているのが東京都心地域なのだ。なぜなら、東京につくれば、最も儲かるからである。
一方、ご存じのとおり、カジノ建設には賛否両論あり、世論調査では常に反対論の方が優勢である。これを推進するとなれば、かなりの時間をかけた議論が必要になる。今後のスケジュールから考えれば、東京都がカジノ建設地の候補に名乗りを上げるかどうかを急いで決めなければならない。少なくとも議論に着手するくらいのことは今すぐしなければならないことだ。
しかし、小池百合子東京都知事も東京都議会議員の候補者たちも、なぜかこの件については沈黙を守っているように見える。大阪では松井一郎大阪府知事を筆頭に大阪維新の会がカジノ推進に向けて精力的に動き始めているのに比べて出遅れ感は否めない。
こうした状況に、カジノ推進勢力はさぞかしヤキモキしているのではないかと思ったのだが、実は、そうではないらしい。
■米カジノ資本が都議選や横浜市長選の争点隠しをロビーイング
昨年のカジノ解禁法成立を受けて、今年の春に米国を中心とした世界のカジノ大資本の経営幹部が次々と訪日し、自民党や民進党などのカジノ推進族議員のところに自社の売り込みに回った。1兆円を投資するなどと景気のいい話で自社にカジノ運営の認可を与えるように陳情したのだ。
その際、各経営幹部は、なぜか、都議選や横浜市長選のことを非常に気にかけていたという。そして、これらの選挙で、カジノが争点になることは何としても避けてほしいと要望して帰ったそうである。
彼らは、日本の世論の情勢をつぶさにモニタリングしている。現状では、東京や横浜では、世論はカジノに反対が強いという分析を彼らはしているようだ。大阪とは違うというのである。もし、仮に、今、カジノが争点になってしまうと、議員や市長の候補が世論を気にして、カジノに消極的な公約を掲げてしまい、選挙後にカジノ推進のために思い切って動けなくなったり、カジノの規制が非常に厳しくなったりすることを彼らは恐れたのだ。