2017年4月6日(木)13:00~15:00、官邸2階の小ホールで、小さな会議が開かれた。会議の名称は、「特定複合観光施設区域整備推進会議」というものだ。
この会議は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」第21条の規定に基づき、総理を本部長として全閣僚で構成される「特定複合観光施設区域整備推進本部」の下に置かれた民間有識者による調査審議機関である。
委員は8名。6月20日までに概ね月2回程度、計5回の会議が開かれた。かなりの頻度である。会議は原則公開と「会議運営規則」には書いてあるのだが、なぜか、毎回、冒頭5分ほどのカメラ撮りを除いて会議は非公開。密室での議論が続いている。議事録は1カ月以上経ってからしか公開されない。もちろん、議事録には本当の議事ではなく大本営発表が書かれている。
このままいけば、夏ごろには大枠のとりまとめというものがなされるそうだ。それが報告書として推進本部長の安倍総理に手渡されることになる。
ここまで読んで、「これは大変だ」と思った方はどれくらいいるだろうか。
多くの人は、何のことか皆目見当がつかないのではないか。
さらに、「これが都議選の重要なテーマだったのに、なぜか完全に争点から落ちている」と言われたら、東京都の有権者は困惑するだろう。
■秋の臨時国会でカジノ実施法が成立すれば候補地選定は目の前に迫る
実は、冒頭に紹介した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」というのは、通称「カジノ解禁法」のことである。この法律はカジノを含む統合型リゾート(IR)施設を作るための基本法であるが、実際にカジノをつくるためには、例えば、カジノを刑法の賭博罪の例外とする法律など、多くの法律が必要となる。そのため、カジノ推進の具体化を図るための「カジノ実施法案」をあらためて作らなければならない。
そして、「特定複合観光施設区域整備推進会議」というのは、カジノの実施法案を作るときにその法案の中身について、第三者の会議体として、「お墨付き」を安倍政権に与えるためのものだ。この会議の報告書を元にして、今秋の臨時国会には、カジノ実施法案が提出され、年明けには、カジノ建設候補地の選定が始まるというスケジュールになっている。