■認識とのギャップはなぜ?

 もちろん、フリースクールに居場所を見つける人もいます。

 フリースクールに通っている人から、学校では「いじめられていた」「教室に居場所がなかった」「優等生でいることに疲れてしまった」という発言を多く聞いてきました。そしてフリースクールでは「強制されない」「安心できる」「自分らしく居られる」という発言も多く聞いてきました。私自身もフリースクールに通い、そう感じた経験があります。

「学校で苦しんできたがフリースクールで解放された」という当事者の声は、おそらく学校へ通ってきた人たちからも、フリースクールの必要性が支持される要因になってきたと思います。それはとても説得力があるものです。

 しかしその割には、あまりにフリースクールに通っている人の数が少ないと思いませんか。このギャップは、やはり、ハードルの高さを示しているのだと思うのです。

 フリースクールに通うこと、つまり不登校になることへの心理的負担が強いという事態は、子どもにとって学校しか選択肢にならないということを意味します。どんなに苦しいいじめがあっても、そこに毎日通わなければならないということです。いじめ自殺が起きるたびに、その遺書を読むたびに、私は不登校を許さない社会が彼らを追い詰めたんではないかという思いを強くします。

 フリースクールになぜ不登校の子が通いづらいのか。

 この問題も、みなさんと考えていきたい問題だと思っています。

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、中学2年生から不登校。フリースクールに通ったのち、NPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材。現在はNPO法人を退社しジャーナリストとして活動中。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

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